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アプリ開発ストーリー

インテリとの出会い 36歳になった。妻との間には、4歳と1歳の娘がいて、最近の趣味はもっぱらポッドキャストを聴くことだ。というのも、育児をしながらだと、まとまって落ち着いた時間を取ることが難しく、細切れの時間、手がふさがった状態でインプットするにはポッドキャストがうってつけなのである。ちなみに僕が聴いているポッドキャストは以下の通り。並びは、聴き始めた順。()内の数字は、2022年4月26日時点におけるエピソード数。distinct.me(#135) Free Agenda(#212) コテンラジオ(#250) 超相対性理論(#53) ゆる言語学ラジオ(#118) ゆるコンピュータ科学ラジオ(#17) ビジネスウォーズ(#29) ハイパーハードボイルドグルメリポート(#30) ざっと計算したところ、現時点までのエピソードを聴くための所要時間は、1エピソードが平均30分だとすると、約422時間も費やしたことになる。なんで急にポッドキャストの話を始めたかというと、もちろん、今回のメインテーマに存分に関わりがあるからだ。タイトルにもある通り、僕はインテリになるためにBookNotionというアプリを作ったわけだが、これらのポッドキャストのいくつかに大きく影響を受けている。どれも素晴らしいコンテンツで、だからこそ聴き続けているのだが、その中でも、超相対性理論とゆる言語学ラジオ、これらのパーソナリティーのインテリっぷりが、僕にBookNotionを開発させた。簡単に、この2つのポッドキャストがどういうものか説明しておこう。 超相対性理論 公式によると、「具体と抽象を行き来しながら、一つの事柄を、さまざまな角度と尺度とから見つめる。すると、同じものも、少し違って見えてくる。観測点や参照点を増やすことで、知と知を星座のように結びつける。浮かび上がる新しい星座について、みんなで語り合い、考える」ポッドキャストである、とのことだ。なんのこっちゃ分からんだろうが、要するに、深井さん、渡邉さん、荒木さん、3人のパーソナリティーが、あるテーマについてアドリブで具体例を出したり、抽象化をしながら理解を深めたり、新しい問いを見つけるポッドキャストである。聴き始めたきっかけは、僕がどハマりしているコテンラジオのメインスピーカーである深井さんがパーソナリティを務める、ということから。至極スムーズに僕のお気に入りポッドキャストリストに登録されてきたのを覚えている。きっかけは深井さんだったものの、BookNotion開発に影響を与えたのは、深井さん以外の、渡邉さんと荒木さんの二人だった。彼らの引用力の高さたるや。例えば、ウェルビーイングの話になったときには、荒木さんが「それに関しては、ジョン・エルキントンが著書の中でトリプルボトムラインを提唱していて‥」と、会話に差し込んでくる。ジョン・エルキントン&トリプルボトムライン、ですよ。ウェルビーイングの話になったときに、さっと引用できますか?無理でしょ。それに対抗するは、渡邉さん。「それでいうと、松本卓さんが『享楽社会論』で統計学的超自我という概念を提唱していて‥」統計学的超自我。一度は言ってみたい。統計学的超自我。一体なんだこの引用力は。僕は真のインテリを目の当たりにした。ポッドキャストだけど。 ゆる言語学ラジオ 言語オタクの水野さんが、聞き手の堀元さんとゆるく楽しく言語の話をするポッドキャスト。言語に関するエピソードももちろん面白いのだが、特筆すべきは、雑談回。台本無しでアドリブで交わされるトークは軽快で、さまざまなうんちくが披露される。そして、このポッドキャストでも、二人の引用力には驚かされる。例えば、北斗の拳で、北斗と南斗が敵対しているにも関わらずある取り決めをしていることに関して、こう引用する。「これはモースの『贈与論』におけるクラと同じなんですよ」なるほど分からん。しかし、不思議なもので、ちゃんと著者と本のタイトルを添えられていることで、こちらもなんとなく、「なるほどね」という気持ちになってくる。このように、彼らの得意領域である、(堀元さんにとっての)コンピュータサイエンス、(水野さんに取っての)言語学に留まらず、哲学、自然科学、歴史、などにも幅広く触れながら軽快なトークが交わされる。僕はこの数年間でポッドキャストを聴き始めるまで、インテリになりたいという思いを抱いたことはなかった。むしろ、インテリというのは、浅はかな知識を披露して愉悦にひたる鼻持ちならない輩、という印象でさえあった。それが、ひっくり返されたのだ。「インテリ、カッケェ」(東京在住 36歳男性)こういうときに、合理的な理由はいらない。かくして、僕はインテリを目指すことになった。 BookNotion構想 インテリとは何か?そんなことを考える必要はあまりなかった。僕は422時間を費やした結果、その答えを知っていたからだ。引用力。これでしょう。これがインテリと非インテリを分ける分水嶺。いかに知識があっても、会話の中で引用ができなければ、それはインテリにあらず。引用力こそ全て。非インテリをくだくのは、知識を超える限りない引用力(パワー)!!(東京在住 B級妖怪)さよなら、非インテリの自分。こんにちは、インテリの自分。引用力を高めるというクリアな課題を設定した今、やるべきはただソリューションを考えるのみ。ビジネスでも研究でも、重要で難しいのは課題の設定であって、ソリューションではない。良い課題を設定できた時点で勝ちなのだ。勝った。。なぜ、彼らパーソナリティーたちは引用力が高いのか?どこに秘訣があるのか?もちろん、僕はここにアンテナを張ってポッドキャストを聴いていた。そこで、僕は引用力の秘訣が「読書メモ」にあることを発見した。彼らは、ただ天性のセンスに任せているわけではなく、読書メモをつけることによって、後で振り返りやすくし、記憶に定着しやすくしていた。軒並み、全員読書メモをつけていたのだ。天性によるものでないことが分かったのはよかった。努力で追いつけるというのは救いだ。ただし、ここで大きな問題がある。読書メモ。クソめんどくさい。本を読んだら読書メモをつける。続けたいけど続かない習慣ランキング一位のやつやんけ。二位は、早起きしてランニング。36年も生きてきたら、自分のことはそれなりに理解している。何が得意で、何が苦手か。どんな習慣は続いて、どんな習慣は続かないか。読書メモなんて、せいぜい1ヶ月も続けば良い方で、テンプレートだけ作って放置するのが関の山だ。良いアプリが無いか、探してみる。読書メモ、というのは、誰もが一度はつけてみたいものなのだろう。たくさんアプリがある。しかし、どのアプリも、「継続できれば、良いよね。でもこれで継続できる気がしない」というものばかり。本を読んだ後には、内容を忘れる。本を読みながら、アプリとかスプレッドシートに入れるのはめんどい。気になったフレーズを自分でタイプして入力するのもダルすぎる。バーコードを読み込めば、本のタイトルや著者名を自動入力するような気の利いたアプリもあったが、それもめんどくさいんだよな、すまん。継続できなさそうな理由がてんこ盛りすぎる。継続できる力、それ自体が天性なのか。自分にはインテリになるのは無理なのか。んなこたぁない。ソリューションは無限。課題設定さえ良ければ、そして、諦めなければ、道はひらける。問題1:本を読んだ後には、内容を忘れる。ならば、本を読みながら、都度フレーズを記録できるようにすればよい問題2:本を読みながら、アプリとかスプレッドシートに入れるのはめんどいならば、アプリやスプレッドシートを開かずに、記録できるようにすればよい問題3:気になったフレーズを自分でタイプして入力するのもダルすぎるならば、クリック操作だけでコピペできるようにすればよいこんな夢みたいな話ありますか?あるんです。これを実現したのが、BookNotion、である。問題3をクリアするためには、紙の本では難しい。デジタルであれば、クリックで選択したり、コピペすることができる。僕はもともとKindleアプリで読書をすることが多かったので、Kindleアプリと連携することにした。都度フレーズをコピペするので、問題1も解決する。残るは、問題2、コピペしたフレーズを、アプリやスプレッドシートを開かずに、どう記録するか。実は世の中には、APIという便利なものがあってな。APIの詳しい説明は避けるが、APIを使えば、自分でカチカチ操作しなくても、プログラマティックにデータを送り込むことができる。あとは、どこにデータを貯めるか。スプレッドシートでもいいが、僕は、データベースとしてNotionを選択した。スプレッドシートって、定期的に見る習慣をつけにくいんだよね。一方、ここ最近、利用者が急増しているNotionは、その広範な利便性から、いろんな生活ログを集約することに長けており、毎日自分のNotionを見るということが自然と習慣化される。データを貯めることを自動化しても、貯まったデータを定期的に見返さなければ意味がない。Notionは今回の用途に最適だった。Kindleアプリから、ハイライトされたフレーズ、本のタイトル、著者名を自動で取得し、Notionに送り込む。あとは、読みながら考えたことをコメントしたり、フレーズに対してタグ付けできると便利そうだよな。なんだか音楽が聞こえてくる。情熱大陸か、プロフェッショナルか、なんかそのへんのやつ。10年後、46歳。インテリになった自分が密着取材されて、振り返る。インテリの道を歩み始めたのは、当時36歳、このBookNotionの構想を思いついたことがきっかけだった。的な。 BookNotionの完成 で、出来上がったのがこれ。BookNotion使い方はこんな感じ。まずは初期設定から。NotionではデータベースというExcelの表みたいなものがあり、これを自由に作れるというのが画期的で、ビジネスのタスク管理や、生活ログや、持ち物管理など、あらゆる用途に使われている。今回は、このデータベースにKindleからハイライトを送りこむわけだが、ハイライト、本のタイトル、著者名、タグ、コメントを問題なく保存できるデータベースをまずは用意しなければならない。これを手作業でやるのは大変なので、NotionのAPIで自動化している。初期設定の手順通りに、インテグレーショントークンを設定して、ページをシェア、ページIDを設定してデータベース作成ボタンをクリックすると、データベースが作成される。これで初期設定は完了だ。イージーだろ?ここに、どんどんKindleのハイライトを入れてくってわけさ。さぁ、いよいよ、KindleからハイライトをNotionに保存だ。Kindleアプリを開く。今回は、僕が敬愛するゆる言語ラジオパーソナリティの堀元さんの処女作「インテリ悪口本」を使わせていただく。   驚くことなかれ。なんと、堀元さんには、このブログを書くにあたって、スクショにインテリ悪口本を使う許可を取っているので、著作権の問題も回避だ! ゴイゴイスー!気になったフレーズをクリック長押しでハイライトしてと、シェアをクリックして、BookNotionをクリックすると、どん!本のタイトル、著者名、ハイライトが切り分けられて取得されている。本を読んだ後に感想を残すのはもう時代遅れ。いまはフレーズに感想を残す時代。コメントを入れて、後で検索しやすいようにタグを追加して、保存すると、どん!!Notionに自動保存!後でタグを追加したり、コメントを編集することもできる。どや!ええやろ!? あとがき かなり理想に近い読書メモアプリになったと思う。僕だけで使うのももったいないので、iPhoneユーザーなら誰でも使えるように、App Storeに置いてある。ぜひ使ってみてもらいたい。https://apps.apple.com/tt/app/booknotion/id1619994087実際に使い始めてみたが、これは相当良いものだ。めちゃめちゃ楽。タイプする必要がないから、クリックだけで記録できるし、読書が中断される感覚がほぼない。どのフレーズを保存しようか考えながら読むから、感受性のアンテナが鋭敏になっている気がする。フレーズを保存するときに、コメントを入れられるから、その場で自分の考えの言語化を求められる。当初は、引用力を高めることだけを目的に開発したものの、結果的には、読書のクオリティを上げる効能もあるアプリとなった。これを経験すると、これまでの読書にはもう戻れない。フレーズを保存できない状態で読書するなんて、怖すぎる。世界に不可逆な変化をもたらしてしまった。何はともあれ、これでインテリになる準備はできた。さぁ、本を読もう。10年後の自分よ。オレは今、インテリへの道を歩み始めたぞ。おまえは今、何を引用している?  

アプリ開発ストーリー

インテリとの出会い 36歳になった。妻との間には、4歳と1歳の娘がいて、最近の趣味はもっぱらポッドキャストを聴くことだ。というのも、育児をしながらだと、まとまって落ち着いた時間を取ることが難しく、細切れの時間、手がふさがった状態でインプットするにはポッドキャストがうってつけなのである。ちなみに僕が聴いているポッドキャストは以下の通り。並びは、聴き始めた順。()内の数字は、2022年4月26日時点におけるエピソード数。distinct.me(#135) Free Agenda(#212) コテンラジオ(#250) 超相対性理論(#53) ゆる言語学ラジオ(#118) ゆるコンピュータ科学ラジオ(#17) ビジネスウォーズ(#29) ハイパーハードボイルドグルメリポート(#30) ざっと計算したところ、現時点までのエピソードを聴くための所要時間は、1エピソードが平均30分だとすると、約422時間も費やしたことになる。なんで急にポッドキャストの話を始めたかというと、もちろん、今回のメインテーマに存分に関わりがあるからだ。タイトルにもある通り、僕はインテリになるためにBookNotionというアプリを作ったわけだが、これらのポッドキャストのいくつかに大きく影響を受けている。どれも素晴らしいコンテンツで、だからこそ聴き続けているのだが、その中でも、超相対性理論とゆる言語学ラジオ、これらのパーソナリティーのインテリっぷりが、僕にBookNotionを開発させた。簡単に、この2つのポッドキャストがどういうものか説明しておこう。 超相対性理論 公式によると、「具体と抽象を行き来しながら、一つの事柄を、さまざまな角度と尺度とから見つめる。すると、同じものも、少し違って見えてくる。観測点や参照点を増やすことで、知と知を星座のように結びつける。浮かび上がる新しい星座について、みんなで語り合い、考える」ポッドキャストである、とのことだ。なんのこっちゃ分からんだろうが、要するに、深井さん、渡邉さん、荒木さん、3人のパーソナリティーが、あるテーマについてアドリブで具体例を出したり、抽象化をしながら理解を深めたり、新しい問いを見つけるポッドキャストである。聴き始めたきっかけは、僕がどハマりしているコテンラジオのメインスピーカーである深井さんがパーソナリティを務める、ということから。至極スムーズに僕のお気に入りポッドキャストリストに登録されてきたのを覚えている。きっかけは深井さんだったものの、BookNotion開発に影響を与えたのは、深井さん以外の、渡邉さんと荒木さんの二人だった。彼らの引用力の高さたるや。例えば、ウェルビーイングの話になったときには、荒木さんが「それに関しては、ジョン・エルキントンが著書の中でトリプルボトムラインを提唱していて‥」と、会話に差し込んでくる。ジョン・エルキントン&トリプルボトムライン、ですよ。ウェルビーイングの話になったときに、さっと引用できますか?無理でしょ。それに対抗するは、渡邉さん。「それでいうと、松本卓さんが『享楽社会論』で統計学的超自我という概念を提唱していて‥」統計学的超自我。一度は言ってみたい。統計学的超自我。一体なんだこの引用力は。僕は真のインテリを目の当たりにした。ポッドキャストだけど。 ゆる言語学ラジオ 言語オタクの水野さんが、聞き手の堀元さんとゆるく楽しく言語の話をするポッドキャスト。言語に関するエピソードももちろん面白いのだが、特筆すべきは、雑談回。台本無しでアドリブで交わされるトークは軽快で、さまざまなうんちくが披露される。そして、このポッドキャストでも、二人の引用力には驚かされる。例えば、北斗の拳で、北斗と南斗が敵対しているにも関わらずある取り決めをしていることに関して、こう引用する。「これはモースの『贈与論』におけるクラと同じなんですよ」なるほど分からん。しかし、不思議なもので、ちゃんと著者と本のタイトルを添えられていることで、こちらもなんとなく、「なるほどね」という気持ちになってくる。このように、彼らの得意領域である、(堀元さんにとっての)コンピュータサイエンス、(水野さんに取っての)言語学に留まらず、哲学、自然科学、歴史、などにも幅広く触れながら軽快なトークが交わされる。僕はこの数年間でポッドキャストを聴き始めるまで、インテリになりたいという思いを抱いたことはなかった。むしろ、インテリというのは、浅はかな知識を披露して愉悦にひたる鼻持ちならない輩、という印象でさえあった。それが、ひっくり返されたのだ。「インテリ、カッケェ」(東京在住 36歳男性)こういうときに、合理的な理由はいらない。かくして、僕はインテリを目指すことになった。 BookNotion構想 インテリとは何か?そんなことを考える必要はあまりなかった。僕は422時間を費やした結果、その答えを知っていたからだ。引用力。これでしょう。これがインテリと非インテリを分ける分水嶺。いかに知識があっても、会話の中で引用ができなければ、それはインテリにあらず。引用力こそ全て。非インテリをくだくのは、知識を超える限りない引用力(パワー)!!(東京在住 B級妖怪)さよなら、非インテリの自分。こんにちは、インテリの自分。引用力を高めるというクリアな課題を設定した今、やるべきはただソリューションを考えるのみ。ビジネスでも研究でも、重要で難しいのは課題の設定であって、ソリューションではない。良い課題を設定できた時点で勝ちなのだ。勝った。。なぜ、彼らパーソナリティーたちは引用力が高いのか?どこに秘訣があるのか?もちろん、僕はここにアンテナを張ってポッドキャストを聴いていた。そこで、僕は引用力の秘訣が「読書メモ」にあることを発見した。彼らは、ただ天性のセンスに任せているわけではなく、読書メモをつけることによって、後で振り返りやすくし、記憶に定着しやすくしていた。軒並み、全員読書メモをつけていたのだ。天性によるものでないことが分かったのはよかった。努力で追いつけるというのは救いだ。ただし、ここで大きな問題がある。読書メモ。クソめんどくさい。本を読んだら読書メモをつける。続けたいけど続かない習慣ランキング一位のやつやんけ。二位は、早起きしてランニング。36年も生きてきたら、自分のことはそれなりに理解している。何が得意で、何が苦手か。どんな習慣は続いて、どんな習慣は続かないか。読書メモなんて、せいぜい1ヶ月も続けば良い方で、テンプレートだけ作って放置するのが関の山だ。良いアプリが無いか、探してみる。読書メモ、というのは、誰もが一度はつけてみたいものなのだろう。たくさんアプリがある。しかし、どのアプリも、「継続できれば、良いよね。でもこれで継続できる気がしない」というものばかり。本を読んだ後には、内容を忘れる。本を読みながら、アプリとかスプレッドシートに入れるのはめんどい。気になったフレーズを自分でタイプして入力するのもダルすぎる。バーコードを読み込めば、本のタイトルや著者名を自動入力するような気の利いたアプリもあったが、それもめんどくさいんだよな、すまん。継続できなさそうな理由がてんこ盛りすぎる。継続できる力、それ自体が天性なのか。自分にはインテリになるのは無理なのか。んなこたぁない。ソリューションは無限。課題設定さえ良ければ、そして、諦めなければ、道はひらける。問題1:本を読んだ後には、内容を忘れる。ならば、本を読みながら、都度フレーズを記録できるようにすればよい問題2:本を読みながら、アプリとかスプレッドシートに入れるのはめんどいならば、アプリやスプレッドシートを開かずに、記録できるようにすればよい問題3:気になったフレーズを自分でタイプして入力するのもダルすぎるならば、クリック操作だけでコピペできるようにすればよいこんな夢みたいな話ありますか?あるんです。これを実現したのが、BookNotion、である。問題3をクリアするためには、紙の本では難しい。デジタルであれば、クリックで選択したり、コピペすることができる。僕はもともとKindleアプリで読書をすることが多かったので、Kindleアプリと連携することにした。都度フレーズをコピペするので、問題1も解決する。残るは、問題2、コピペしたフレーズを、アプリやスプレッドシートを開かずに、どう記録するか。実は世の中には、APIという便利なものがあってな。APIの詳しい説明は避けるが、APIを使えば、自分でカチカチ操作しなくても、プログラマティックにデータを送り込むことができる。あとは、どこにデータを貯めるか。スプレッドシートでもいいが、僕は、データベースとしてNotionを選択した。スプレッドシートって、定期的に見る習慣をつけにくいんだよね。一方、ここ最近、利用者が急増しているNotionは、その広範な利便性から、いろんな生活ログを集約することに長けており、毎日自分のNotionを見るということが自然と習慣化される。データを貯めることを自動化しても、貯まったデータを定期的に見返さなければ意味がない。Notionは今回の用途に最適だった。Kindleアプリから、ハイライトされたフレーズ、本のタイトル、著者名を自動で取得し、Notionに送り込む。あとは、読みながら考えたことをコメントしたり、フレーズに対してタグ付けできると便利そうだよな。なんだか音楽が聞こえてくる。情熱大陸か、プロフェッショナルか、なんかそのへんのやつ。10年後、46歳。インテリになった自分が密着取材されて、振り返る。インテリの道を歩み始めたのは、当時36歳、このBookNotionの構想を思いついたことがきっかけだった。的な。 BookNotionの完成 で、出来上がったのがこれ。BookNotion使い方はこんな感じ。まずは初期設定から。NotionではデータベースというExcelの表みたいなものがあり、これを自由に作れるというのが画期的で、ビジネスのタスク管理や、生活ログや、持ち物管理など、あらゆる用途に使われている。今回は、このデータベースにKindleからハイライトを送りこむわけだが、ハイライト、本のタイトル、著者名、タグ、コメントを問題なく保存できるデータベースをまずは用意しなければならない。これを手作業でやるのは大変なので、NotionのAPIで自動化している。初期設定の手順通りに、インテグレーショントークンを設定して、ページをシェア、ページIDを設定してデータベース作成ボタンをクリックすると、データベースが作成される。これで初期設定は完了だ。イージーだろ?ここに、どんどんKindleのハイライトを入れてくってわけさ。さぁ、いよいよ、KindleからハイライトをNotionに保存だ。Kindleアプリを開く。今回は、僕が敬愛するゆる言語ラジオパーソナリティの堀元さんの処女作「インテリ悪口本」を使わせていただく。   驚くことなかれ。なんと、堀元さんには、このブログを書くにあたって、スクショにインテリ悪口本を使う許可を取っているので、著作権の問題も回避だ! ゴイゴイスー!気になったフレーズをクリック長押しでハイライトしてと、シェアをクリックして、BookNotionをクリックすると、どん!本のタイトル、著者名、ハイライトが切り分けられて取得されている。本を読んだ後に感想を残すのはもう時代遅れ。いまはフレーズに感想を残す時代。コメントを入れて、後で検索しやすいようにタグを追加して、保存すると、どん!!Notionに自動保存!後でタグを追加したり、コメントを編集することもできる。どや!ええやろ!? あとがき かなり理想に近い読書メモアプリになったと思う。僕だけで使うのももったいないので、iPhoneユーザーなら誰でも使えるように、App Storeに置いてある。ぜひ使ってみてもらいたい。https://apps.apple.com/tt/app/booknotion/id1619994087実際に使い始めてみたが、これは相当良いものだ。めちゃめちゃ楽。タイプする必要がないから、クリックだけで記録できるし、読書が中断される感覚がほぼない。どのフレーズを保存しようか考えながら読むから、感受性のアンテナが鋭敏になっている気がする。フレーズを保存するときに、コメントを入れられるから、その場で自分の考えの言語化を求められる。当初は、引用力を高めることだけを目的に開発したものの、結果的には、読書のクオリティを上げる効能もあるアプリとなった。これを経験すると、これまでの読書にはもう戻れない。フレーズを保存できない状態で読書するなんて、怖すぎる。世界に不可逆な変化をもたらしてしまった。何はともあれ、これでインテリになる準備はできた。さぁ、本を読もう。10年後の自分よ。オレは今、インテリへの道を歩み始めたぞ。おまえは今、何を引用している?